こんにちは!かっきーです。今回の記事では、病院が採用活動を行う際に考えていることにフィーチャーしてご紹介いたします。何度も言っていますが、転職活動はお見合い(古いですね💦マッチングアプリ?かな?)です。自分のことだけを考えていても相手に好かれないように、採用を勝ち取るには、自分を知り、相手を知り、マッチするところをアピールする必要があります。自分の得意でも、相手が必要としてないことであれば、アピールしても仕方ありません。病院の気持ちを知り、マッチしたアピールポイントを見つけられるようにしましょう。
【この記事を読むメリット】
- 病院の採用基準がどうやって決められているのか、どんな看護師さんに決め欲しいと思っているか分かる!
- 何を伝えれば志望先の病院に「刺さる」のかが分かる!
- 記事を読んでもわからないことが有れば個別に質問・相談できる!
看護師転職裏事情!看護師さんが知らない病院の㊙看護師採用基準とは?
まずはっきりしないといけないのは、看護師さんの採用計画・採用戦略について「意識の高い病院と低い病院の差が非常に激しい!」ということです。
後者は、看護部長や看護師長が臨床の片手間に仕方なく採用人事を行い、「人手が足りない」→「現場が忙しい」→「採用活動の重い腰を上げる」→「採用者も忙しい現場に不満」→「辞める(新人さんだけでなく、新しい人が入ってきたからやっと辞められる!と既存の看護師さんが退職するケースも)」→「人手が足りない」→「現場が忙しい」・・・という無限ループを繰り返すことになります。勿論病院もこのループからは抜け出したいのですが、長期的な採用戦略を持っていない(持ち方が分からない)ので、なかなか抜け出すことが出来ません。
とはいえ、近年は看護師さんの労働環境改善の動きや、SNSですぐに病院の評判が出回ってしまう現状から、私のようなコンサルに依頼するなどし、採用問題を根本から解決しようとする病院・クリニックが増えてきています。
特に2022年からは非正規労働者も正規労働者と基本的に同等の待遇を求められるようになったため、病院としては非正規雇用でその場しのぎするという策を取りにくくなりました。それをきっかけに、正社員の採用活動をより真摯に・シビアに行おうとする機雷があります。
まだ一部では場当たり的人事が行われている病院が有るのは確かですが、ここでは長期的視野で真摯に看護師さんの転職活動に向き合う病院をモデルケースに、病院側から見た看護師採用活動を紹介していきます。
病院の看護師採用戦略➀どんな看護師さんを、いつ、何人雇うか(募集要項)
毎年決まった時期に一定の人数を採用する新卒採用と異なり、中途採用は病院が正確に把握できない現職スタッフの退職や休職、シフトの変化(夜勤に出れなくなるなど)に対応する目的もありますので、「いつ、何人雇うか」も重要な決定事項です。どんな看護師さんを採用するかも、新卒看護士さんとは異なる基準になります。これらの事項を病院が決定する過程を紹介します。
採用基準の決定に影響を与える4つの要素
- 病院の経営方針(予算含む)
- 看護部の業務&育成指針
- 昨年度までの人事・採用データ
- 医療政策や社会情勢
などです。
1 病院の経営方針(予算含む)
病棟はどこも看護師不足、一人当たりの業務負担が多くなり過ぎていますので、看護部としては一人でも多く採用してもらい、現場のひっ迫を何とかしたいところです。
しかし、病院にも予算が有り、かつ採用人事においてはどうしても医師優先です。これは勿論医師の方が偉いからなどという理由ではなく、医局との力関係で(特に中小の病院だと)医師人事が先に決まってしまうからです。
かつ、看護師人事においても新卒優先です。病院だけでなくどこの企業でもやはり人事の核は新卒採用です。若い人材がたたき上げで育っていく土壌を作らなければ病院(企業も)に未来はありません。
そこで、看護師さんお天職人事はどうしても予算が限られ、新卒採用のように病院見学やインターン制度を取り病院の雰囲気や方針を知ってもらったり、採用に掛けるコストも少なくなってしまいます。
限られた予算の中で、かつ優先順位を上げられない葛藤の中では、どうしても中途採用の採用基準は保守的になります。
この点を覚えておくだけで面接で言うべきことのヒントが見えてきます。
2 看護部の業務&育成方針
看護部がどこまで採用人事に関わっているかは、病院の規模によって大きく変わってきます。規模が大きい病院では原則人事部や事務局主体で採用を行っています。
この場合、ターゲットが新卒であれば新卒向けの集団研修やオリエンテーションに人事部も参加し、どんな研修をしているのかを採用活動の際に学生にエピソードを踏まえ具体的に伝えるなど、ほとんどの病院で看護部との連携が取れています。学生は、専門的な話をされてもわからないので、病棟の雰囲気だったり、働きやすい環境(綺麗な寮があるとか、駅から近いとか)
しかし、中途採用となると話は別で、病棟ごとの細かい要望に合わせたきめ細かな採用人事が行われるケースは多くありません。病棟の看護師さんたちが採ってほしい人材と人事部が実際に採用する看護師さんに乖離が生じることも多々あります。(例外的に、オペ室やICUなど希望者が少ない病棟は、看護部の積極的な協力のもと、中途採用対象の見学会を開いたり、意図的にアピールして、興味をもってもらうよう工夫している病院もあります)
さて、採用基準を決めたり病院のアピールポイントを決めるのが看護師経験が無い人たちなので、そのまま病院の経営面での特徴を伝えてしまい、働き手としての魅力が看護師さんに伝わらず、良い病院なのになぜかいつも倍率が低いなんて病院も多くあります。
逆に言えば、大病院を受ける際は、看護師としての技術や経験を訴えてもあまり効果が無いことが有ります。この点も、覚えておけば面接の回答作りに活かせるでしょう。
うちは在院日数が短くて~、患者の紹介率が高くて~、高名な医師が在籍していて~、、って言われても。私、入院しに来てるわけじゃないので💦どんな技術や経験が求められているかを聞きたいのに、技術の話したら??って顔されちゃいました。
一方、中小病院では、看護部長・師長が看護部の目指す方向性、欲しい看護師像を明確に打ち出し主体的に採用活動を行うことが多いです。
この場合は、受験者も病院のシステムや看護理念と自身の看護観、提供したい看護をがマッチすることをアピールすると良い評価を得られます。
どんなに素晴らしい看護観を持っていても、病院の理念に合わなければ採用される可能性は低いです。とはいえ、面接で嘘をついて合わせても、看護観が合わなければ入職後苦労するのはあなたです。合わないのであれば、違う病院を探すべきでしょう。
3 昨年度までの人事・採用データ
昨年度までの人事データ、採用活動におけるデータも参考にします。
人事データとは、例えばどの病院のどの病棟から転職してきた人が優秀だったとか、逆にすぐ辞めたとか、質的なデータに加えて、退職時期のデータも参考にします。ちなみに、退職時期で最も多いのははやり3月末ですが、夏・冬の賞与をもらってから退職、転職活動を始めるという例も多くあります。
採用活動におけるデータとは、エントリー数やインターネット検索数、1次面接通過数 、辞退率などです。
これらを細かく把握することで、次年度に向けて採用活動の改善点を明らかにすることができます。
4 医療政策や社会情勢
医療業界やあらゆる業界の中でも最も閉鎖的かつ保守的かもしれません。彼らが自発的な改革を起こすことは残念ながらほとんどなく、病院に管理栄養士さんを増やしたり、技師さんを増やしたり、看護配置を充実させるときは、決まって国の政策で「その配置をすることによる点数が新設or増加した場合」です。
また、今回のコロナ禍など、社会情勢によって人員配置を組み替えることもあります。
このように、社会情勢や医療政策の変化は病院人事にも大きな影響を与えます。2006年の7:1への転換などは、看護師さんにとっては転職の大チャンスでした。今後も看護配置や専門看護師が病棟に居ると点数アップなどの変化が有るときは、病院が人事構想を差施行する機会です。採用基準を見直すなど、看護師さんの転職事情に大きく影響してくるでしょう。
これらの過程を経て、まず【不採用基準】が決まる!
さて、これらの過程を経てまず決まるのが、【ネガティブリスト】【ノックアウトファクター】という、二つの不採用基準です。
病院それぞれにリスト化されていると思いますが、特に以下のような事項は多くの病院でネガティブリスト入りしていると考えられます。
- 転職歴が多すぎる(一つの場所で長く続かない)
- 長く続ける気が無い
- お金にこだわる
- 自分の看護が語れない(何がしたいか見えない)
- 前の職場の批判や非難をする
- 学歴・経歴自慢をする
- 極端な思考
- 向上心・やる気に欠ける
- プライドが高過ぎる
面接や履歴書から上記のような姿勢が見えると病院としてはなかなか採用しにくくなります。なお、【極端な思考】というのは、信念が強すぎたり、思考の幅が狭かったり、プラス思考マイナス思考いずれかにより過ぎているなどです。特に、信念が強いことは良いことだと捉えている人が多いでしょうが、協調性が要求される職場ではマイナスに働くことが多いのです。病院や病棟にはそれぞれのルールが有りますから、どんなに自分が正しいと思っていても、環境に合わせられる柔軟性が求められます。
共通するのは責任感と協調性があるかどうかですね。この二点は特に重視されていて、面接で一見何を聞かれているか分からないような質問でも、実はこの二点を問うているような質問が多いです。職場の雰囲気つくりはとても大切で、病院側も必死になって改善しようとしています。輪や和を乱す人の採用は既存の看護師さんからもクレームが来ますので、人柄に関することはスキルや経験以上にネガティブリストに入りやすいです。
看護師さんはこれらのノックアウトファクターやネガティブリストに当てはまるような回答や発言を面接時にしないことが大切ですね!
中途採用の採用基準~【即戦力】をどう考えているか~
特にキャリア4年目以降の看護師さんは、「わたしは即戦力として計算されているだろうから、キャリアやスキルをしっかりアピールしないと」と考えがちです。
しかし、看護師さんが他医院でどんな経験を持っていたとしても、新しい病院は看護理念も違えば組織の風土も違います。システムも異なれば、マニュアルも異なり、使っている機材も違えば物品も異なります。
そんな初めての職場で、すぐに力を発揮することは困難です。病院もそれはわかっています!
確かに、現場レベルでは自身や病棟全体の多忙を解消してくれる即戦力を求めてしまいます。それでも、採用する側は、それは無茶だとわかったうえで採用活動を進めています。(戦力を願う現場の声も、ではあなたが違う病院に行ってすぐに戦力になる自信が有りますか?と言うと、だいたい理解してくれます♪笑)
前述のように、中途採用は退職者の補填の意味合いも強いのですが、1人減ったから1人補充したからプラマイゼロ、さあリスタート♪とはいかないのが看護の現場。 中途採用者であっても、院内できちんと教育プログラムを立て、現在のスキルや本人の目標に応じたラダーを設定し、育成のために必要な時間を設定し、経験を積んでもらうこと、それを現場と共有することが重要です。
転職を希望する看護師さんも、経験やスキルをアピールし即戦力性を殊更に強調する必要はありません。むしろ、ネガティブリストにある【プライドが高い】や【経歴自慢】に繋がりかねません。面接はあくまで謙虚な姿勢で受けることが重要なのです。
病院の看護師採用戦略②看護師さんをどう集めるか(募集戦略)
さて、採用基準を決定・統一したら、次にどうやって募集するかという募集戦略を考えていきます。系列病院からの異動を斡旋してもらったり、転職サイトからの紹介を依頼するのは当然ですが、ここでいう募集戦略とは、単に「はい、うちの病院募集を開始しますよ~」と手を挙げることでなく、【看護師さんにうちの病院を選んでもらう】ための戦略です。
自院の強みを確認し、募集活動に活かす【ブランディング】
病院もブランディングの時代です。患者さんに対してのブランディング以上に、医師や看護師、その他医療スタッフに自院を選んでもらい、質の高いスタッフを集めるためのブランディングに力を入れています。(患者さんへのブランディングは保険医療だとなかなか広告規制が厳しいので難しいという現実もあります💦)
さて、医療におけるブランディング戦略では「医療サービスを可視化」し、自施設の地域における医療サービスの価値をブランディングしていくことが必要です。医師も看護師も、「この病院は私にどんな環境を提供してくれるんだろう」という気持ちと同じか、もしくはそれ以上に「この病院は患者さんにどんな医療サービスを提供するんだろう」と、患者目線の病院評価をします。
病院のHPの中には、患者さん向けの病院紹介のほかに、転職希望者など医療者に向けた病院紹介のページを用意しているところもあります。
看護師さんが看護においても、サービスの価値を病院や施設の経営方針に合致させ、看護師の求人を行っていかなくてはなりません。そこで、採用のためのブランディングが重要になります。
多くの病院が取り組んでいることを挙げると
- 医療圏内の他医院(競合相手)のブランディングの研究
- 離職率が低い病棟と高い病棟の比較分析
- 3C分析による自院の強み発見
- SWOT分析による採用課題の発見
あたりでしょうか。~なんちゃら分析の部分は看護師さんが詳しく知る必要はありませんが、競合する病院(看護師さんを取り合っている病院)と自院を比較して、優位な点に絞って看護師さんに【刺さる】メッセージストーリーを作ろうとしています。
そうして「この病院じゃなきゃダメ」という応募動機を作るのが目標です。どんな看護が提供できるかを明確にすれば、「こんな看護がしたいと思う」看護師が応募してくるようになります。
逆に言えば、「うちの病院を受けに来る看護師さんは待遇でしか見てくれないんだ」とか「大学病院や公立病院の事前の選択肢でしか見られていない」いう病院は、スタッフに訴えるようなブランド作りが出来ていない、看護師さんに明確なビジョンを示せていないということかもしれません。
ブランディングに成功した病院だと、働いた時の自分の姿をイメージできたり、「この病院なら、ストレスを溜めずにやっていけそう」と「自分の信じる看護を共有できそう」と、希望が湧くんですよね。
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