こんにちは!かっきーです。今回の記事では、転職活動を成功させて充実した看護師生活をしている看護師さんと、慎重に職場選びをしているはずなのにいつも外れくじを引いてしまう看護師さんの違い、どこでその分岐点が出来てしまうのかを事務長目線で解説いたします。お時間ある方はどうぞ最後までお付き合いください。
【この記事を読むメリット】
- 看護師さんの転職活動の成功の秘訣、失敗の原因が分かり自身の転職活動に生かせる!
- 何を基準に転職先や(看護師資格を生かした他の)職種を検討すればキャリアの充実に繋がるかがわかる!
- 待遇や福利厚生など単純な勤務条件ではなく、長期的なスパンであなたの幸せに繋がる転職基準が見つかる!
- 記事を読んでも解決しないことがあれば個別に質問・相談できる!
転職が成功する看護師と失敗する看護師の大きな違いとは?
まず、この記事で言う成功とは採用された、不採用だったという採用の合否を言っているわけではありません。試験のテクニックについては別の記事でたくさん伝授していますのでそちらをご参照ください。
この記事で言う転職活動の成功とは、転職した結果、あなたの満足度や幸福度が上がることです。第一志望に受かっても、そこでやりたいことができていないのであれば成功とは言えません。逆に、第一志望の病院ではなかったけど、数年後に「この病院でよかった!」といえる人もいます。
その違いはどこにあるのでしょうか。多くの看護師さんは、第一志望に受かったのに満足のいく勤務環境を得られていないと「思っていた病院と違った」「素敵な病院だと思ってたのに」
失敗する転職➀待遇を一番の基準にして転職先を決めている
幸せは、財産、地位、職業などで決まるものではない。
トーマス・エジソン
その人が何を幸福と考え、不幸として考えるかで決まるのだ。
転職が失敗する一番の原因は、待遇を基準に病院を選ぼうとすることです。お給料がいい、休みが多い、夜勤が少ない、などですね。めちゃくちゃ大事じゃないか!そうおっしゃる気持ちはとても分かります。
実際に、アンケートを取ると、病院を続けたいと思う理由の一位は断トツでお給料です。他にも、労働環境(労働時間や休日日数)や人間関係の問題が上位に挙がっています。しかし、大切なのは、このアンケートに答えている人は「実際に続けている人=辞めていない人」だということです(笑)
より本質的なところに不満がある場合、すでに辞めているのでしょう。
実際に、「自分の望む看護ができているけどお給料が低い」というとき、退職という選択肢を取る看護師さんは極めて少数です。少なくとも私の周りには何百人中数人しかいませんでした。
だから、よく思い返してみて下さい。今あなたは、なぜ転職を考えているのですか?給与や待遇への不満からでしょうか?
私も多くの看護師さんの悩みを聞いてきましたが、転職理由の多くは「師長の考えが私のやりたい看護に合わない」「せっかく身につけたスキルが生かせない」「周りのレベルが高くついていけない」「人が足りなくて一人一人の負担が大きい」・・など看護業務に関わる部分です。
人間関係の問題も、実際は「先輩が有給を好き勝手とってしわ寄せがくる」「50代と新人ばかりの組織で、教育してくれる人がいない」など、業務に起因するものが多く聞かれます。
あなたの心を悩ませるものは本当にお給料やボーナスの額ですか?
看護師さんは皆責任感が有り、とてもまじめです。転職は「待遇」で選ぶのに、実際に入社後悩むのは「看護師としての生き方」や「業務自体」に関する事がほとんどなのです。
「給料が低いから転職したい」と言っている看護師さんは確かに多いです。ですが、この方たちは転職したいというだけで実際に転職することは稀です(笑)
業務上の不満が、ほぼ実際の転職活動や退職に繋がるのとは対照的です。結局、看護師さんにとっては待遇の不満<業務上の不満なのではないでしょうか。
なお、転職サイトを利用して転活をする場合、担当のエージェントさんに対しても給料や待遇への希望を熱く語りすぎるのは避けましょう(笑)
あくまで条件の一つとして提示することが大事で、「どんな病院を(転職先に)考えていますか?」と聞かれて真っ先に伝えることではありません。特に人気の病院の場合、エージェントさんがその病院にあなたを紹介してくれるかどうかは、エージェントさんのあなたへの評価も大きな要素になります。
「病院側は看護観が合う看護師さんを第一条件にしてるからなあ、給料第一の看護師さんの紹介は避けておこう」となっても文句言えません。
また、小さなクリニックの場合、キャリアや技術よりも人柄や柔軟な働き方をしてくれる人を重宝します。「待遇や勤務条件にうるさくない看護師さんを採用したい」と思っている院長先生は多いのです。
そのように、給料や待遇を重視してしまうと転職活動自体でマイナスになることもあります。
ですから、これから転職活動を行う皆様はもう一度心に問いかけてみて欲しいのです、看護師としてあなたが求めているものは、本当にお給料の額ですか?
なんでエージェントさんが私を病院に紹介するかしないか勝手に決めるんですか?病院に落とされるならまだわかるけど、勝手に判断するのはひどい!エージェントさんは、志望する看護師は全員病院に紹介するべきです!
気持ちはわかるけど、病院側は自分たちで応募してくれた看護師さん全員を見る余裕が無いから「予め(エージェント側で)絞ってくれ、うちは10人までしか面接しないよ」なんて言ってきたりします。病院側が転職サイトを使う理由の一つにそういった採用業務の負担軽減もあるから、仕方ないんだ。相手の事情を理解しようとする気持ちも大切ですよ♪
本当の職場環境は、待遇には表れない!
待遇を条件に転職活動をすると成功しない、、その理由は他にもあります。
経営者目線から話をしますね。「看護師の働き方を改善しよう、職場環境や教育体制を整えよう」と病院が考えた場合、次の求人条件に、どんな変化が起きると思いますか?
環境改善のためには、少なからずそこに資源を投入する必要が有ります。例えば、育児短時間制度を導入し、多様な働き方を看護師さんに提供できるようにしたとしましょう。結果、15時30上がりの社員が出ました、お陰でこの看護師さんは仕事と子育てを両立できます。
しかし、当然17時に準夜勤のスタッフが出勤するまでの1時間半は当然人で不足になります。17時までのスタッフの不満がたまり、退職者が増えます。
それを避けるために、結局雇う人を増やさざるを得なくなるでしょう。すると、人件費は予算オーバーになってしまうので、一人当たりの給与は下げざるを得ません。
とはいえ、元からいるスタッフの給与を下げることは法律上も組織論上もほぼ不可能ですので、これから入るスタッフの給与を低く設定するしかないのです。
つまり、スタッフの職場環境を考えて柔軟な働き方を提案しようと力を入れている職場ほど、実は新規求人の待遇は悪くなりがちなのです。一時の新規求人の待遇の悪さは、職場環境を何とか改善しようと奮闘する病院の過渡期に訪れる、仕方のない現象と思ってください。
一見待遇が悪く見えても、実は時代に合わせた長期的な視野でスタッフの事を考えてくれる病院かもしれません。面接では、働き方改革に力を入れていることを面接官が熱く語ってくれるかもしれません。
逆に、給与はすごく高いけど、実は病院の考え方が古臭く、表面上の対策(法律の基準さえ守っておけばいい)しか行っていない病院かもしれません。離職率がとても高いがゆえに、常に好条件で新規看護師を募集せざるを得ない病院という可能性もあります。
求人情報に乗っているお給料の額面だけでは、本当の待遇の良しあしや、病院の看護師の労働環境に対する考え方は分からないものです。5年後10年後をトータルで考えたら、看護師さんの満足度は求人広告で感じた印象とは全く変わったものになっているかも知れません。待遇だけを見て求人に飛び込むのは、実は危険なことなのです。
ですから、病院の理念や教育体制、看護師の労働環境への考え方などをHPなどで調べたり、看護師転職サイトのエージェントさんに聞いてみて、数字には表れない病院の姿勢を判断材料にしてください。
今いるスタッフの給料を下げるのは法律上とっても難しいですし、法律の壁を乗り越えたとしてもモチベーションの低下は避けられません。既存スタッフの減給は、現実的にはほぼ不可能なのです。
失敗する看護師転職②長期的な看護師キャリアを描いていない
一つ一つのキャリアが、あなたの人生全体のキャリアを作ります。前職の経験が良くも悪くも今の転職活動に影響を与えているでしょうし、今選んだキャリアは次のキャリアに大きく影響します。
当たり前のことですよね。しかし、当たり前のことなのに、なぜか今あなたがした選択がどんな未来に繋がるかを深く考えずに「とりあえず」で転職先を選んでしまっている看護師さんが多くいらっしゃいます。
人間関係に疲れたからとりあえず採血センターで黙々と血を取ってよう。長く勤める気は無いけど、いったん給料の高い美容クリニックで思いっきり稼ごう。その先のことはまた改めて考えればいいや。
そのように、長期的なビジョンを描かず安易に転職先を選択してしまうと、芯の無い、軸がブレたキャリアが出来てしまいます。
確かに、いろいろな経験があなたの看護師キャリアをより良くする可能性はあるでしょう。どんな道を歩いても、それを寄り道にするか回り道にするか近道にするかはあなた次第です。ただ、自身のキャリアのために必要だと心から言える選択をして欲しいとお節介ながら思っています。
また、「周囲がどう思うか」をあなたが変えることはできません。自分では回り道も寄り道もいい経験だったと思っても、相手がプラスに評価してくれるかはわかりません。特にこと面接となると、面接対策では「志望動機」「キャリア観」「理想の看護師像」など同じ意図で質問された質問群に、一貫性を持たせることがとても重要になります
今までずっと手術室で働いてきました、また将来も手術室に戻りたいです。でもここ2年間は一旦看護を離れて百貨店の美容部員に一年、その後一年は内科クリニックに勤めてました。
もしあなたが面接官だったら、どう思いますか?「なぜ一度看護師を辞めたんですか?」「なぜクリニックを経験したいと思たんですか?」って聞きたくなりませんか?
面接は一問一問が貴重なアピールタイムです。あなたが面接官に伝えたいオペ看への想いが、この二年間への質問のせいで伝えられないかもしれません。
面接は面接官に100%主導権があります。こちらが伝えたいことも、面接官が聞いてくれて初めて伝えられます。
繰り返しになりますが、結果としてプラスになった、ではなくプラスになると自信をもって言えるような道を選び、自信をもってなぜその道を選んだかを伝えられるような選択をしてくれると、病院側も自信をもってあなたを採用できます。
(この点については下記の記事もご参照ください)
成功する看護師転職~理想の看護師像・キャリア像を本気で探してみよう!~
これまで見てきたように、転職活動を成功させるには待遇や人間関係ではなくあなた自身の看護観やキャリア像を軸にして長期的な視野で次のステップを探すことが大切です。
とはいえ、日々の業務の中でそれらの理想像を見つけるのは難しいもの。一度じっくりと机に向かい、もしくはお気に入りのカフェでゆっくりとあなた自身のキャリアを模索してみましょう。
というわけで♪ここでは、看護観やキャリア像を考えるヒントとなる知識や考え方をご紹介していきます。
好きなことを仕事にしたい。あなたはその夢をかなえて看護師になりましたか?それとも、安定性に魅力を感じて?子供のころ病院でお世話になった看護師さんに憧れて?
そのように、キャリア選択には無限の可能性があり、何色にも染まっていないあなたに、無限の選択肢の中から基準を提供するのは難しいものです。
ですが、選んだキャリアをどう組み立てていくかに関しては、すでにいくつかのキャリア論が生み出され、自身のキャリア構築に悩む多くの社会人の助けになっています。
そんなキャリア論の中から、「専門性が高い」「日々新しい知識に追われる」「仕事と仕事の切れ目が見出しにくい」「他の職業との接点も持ちにくく閉鎖的である」など看護師さんの業務特性に合ったキャリア論を3つ紹介いたします。それぞれ
- 得意・適性を基準に考える
- あなたが歩んできた過去のストーリーから考える
- プライベートと仕事を切り離して考える
といった特徴を持っています。
あなただけの看護師キャリアを考える➀得意・適性をヒントに考える
得意・適性からキャリアを考えるなら、シャインの【キャリア・アンカー】
キャリアのキャリア・アンカーとはアメリカの心理学者エドガー・シャインが考えたキャリアデザインの手法です。アンカーとは船をつなぎとめる錨のことで、どんな波が来ても船をつなぎとめる錨のように、周囲の環境が変化しても変わらないあなたの価値観や欲求を基準にすれば、最善のキャリアが見つけられるという理論です。
シャインは、「得意」や「欲求」、「自身の存在意義」などから形成される確固たる自分、アイデンティティががキャリア・アンカーに繋がると考えました。
何言ってるかわかりません
すごくざっくりいうと「あなたはどんな人ですか?なるべく短い言葉で、なるべく他人と被らないような特徴を説明してください」って聞かれたときの答えがアイデンティティでしょうか。なるべく人と被らないようにするには、特徴を重ねると良いでしょう。例えば「無類の女好き」に当てはまる人はいくらでもいるでしょうが「極度の女好きで料理のプロで正義感に熱い男」と言えばサンジさんだ!となりますよね。そんな感じで、あなた自身が思う「私はこんな人!」がアイデンティティです
そしてシャインは、アンカーを以下の8つのカテゴリーに分けました(コンピタンス=能力と読み替えてOKです)
※→の後は私が考えたそのアンカー該当者に向いているであろうキャリアです。シャイン氏や下記調査の中で述べられた考えではありません)。
- 専門・職能別コンピタンス
(専門性やスキルの向上に幸せを感じる。プロフェッショナル思考→専門看護師など) - 全般管理コンピタンス
(組織の中で価値ある役割を果たすことに幸せを感じる→長く勤め師長や部長への昇任) - 自律・独立
(ルールに縛られず自分のやり方の真っ当に魅力を感じる→看護学校や大学の教員) - 保障・安定
(雇用の安定性や将来を見通せる環境に安心を感じる→大学病院や市立病院など大病院での勤務) - 起業家的創造性
(自分にしか出来ない事で社会に新しい価値を提案したい→医療系ライターや看護師対象のセミナー講師) - 奉仕・社会貢献
(金銭的なやりがいよりも精神的な充実や社会貢献を重視→訪問看護や介護施設での勤務) - 純粋な挑戦
(人生を冒険と捉え、困難への挑戦や問題の解決に人生を賭ける価値を見出す→検疫官や医療ケアシッター) - 生活様式
(プライベートやライフスタイルを重視し個人や家族の欲求の充足を求める→クリニックやフリーランス看護師)
向いてることは上手になりやすい→人より上手なことは勝手に好きになるって高校の先生が言ってたなあ。初めから好きなことを目指すのもいいけど、向いている→得意→好きを目指すのは確かに現実的かも!シャインさん流石!
キャリア・アンカーの診断方法
キャリアアンカーの診断方法は簡単です。下記の表の中から自身のイメージに有ったり、魅力的に感じるキーワードを数え上げてください。最も多かったアンカーがあなたのキャリア・アンカーです。
アンカー | キーワード | 数 |
専門・職能別コンピタンス | 専門分野、専門的な知識、専門家、高いスキル、第一人者、プロフェッショナル、スペシャリスト、その道のプロ、得意分野で頼られたい | |
全般管理コンピタンス | 管理職、昇進、権限、パワー、権力、リーダー失費、マネジメント、経営管理、肩書、序列、出世 | |
自律・独立 | 自由、自立、自律、独立。自分のペース、自分らしさ、自由度、裁量範囲、規則に縛られたくない、自由裁量 | |
保障・安定 | 安全、安定、手堅い、着実な、パターン化、慣れた、リスクの少ない、集患的な、確実な、保証がある | |
起業家的創造性 | 企業、起業家、創業、創意工夫、ビジネスチャンス、新しいこと、オーナー、新規事業、プロジェクト立ち上げ、ビジネスプラン | |
奉仕・社会貢献 | 人のため。世の中に尽くす、世界平和、奉仕、役に立つ、多くの人に感謝、貢献、援助、支援、自分の理想 | |
純粋な挑戦 | 挑戦、克服、競争、達成、ライバル、障害を乗り越える、不可能を可能にする、勝ちにこだわる、チャレンジ、達成感 | |
生活様式 | 十何、過程、趣味、プライベート、ケースバイケース、調整、ワークライフバランス、生きやすさ・働きやすさ、充実感 |
周りの看護師さんはどんなアンカーを持っているんだろう?
なお、看護師さん全体のキャリア・アンカーを調査した研究が有ります。周りの看護師さんはどんなアンカーを持っているのか気になる方もいらっしゃると思いますので、参考として掲載しておきます。研究自体も興味深く示唆のある内容になっていますので、興味のある方は是非リンクから研究に飛んでみて下さい。
看護師(平均年齢32.1歳、平均経験年数9.7年)を対象とした調査では左記のように【生活様式】をキャリア・アンカーと考える看護師さんが最も多く、次いで【保障・安定】【専門・職能別コンピタンス】が多くなっています。
また当調査によると看護師さんの経験年数や配偶者の有無、子供の有無などの生活環境によっても大差はなく看護師全般にこの傾向が当てはまるようです。
詳しくは左記リンクをご参照ください。
あなただけの看護師キャリアを考える②過去のストーリーをヒントにする
子どものころ、なぜ看護師を目指したのか。これまで何をしてきたか。何をしているときに喜びを感じたか。どんな業務が自分に合っているか、私は今後どう生きていきたいのか、、そんな自問自答を繰り返し自分の物語を作ることであなただけのキャリアを考えるのも良いでしょう。他のキャリアデザイン論に比べ感情や主観的な要素を重視するのが特徴です。
過去の経験からキャリアデザインを考える人におすすめ!サビカスの【キャリア構築理論】
過去の経験をヒントにキャリアを考える際に有効なのが、サビカスのキャリア構築理論です。サビカスは、キャリアは客観的な出来事の繋がりで作られるものではなく、主観的なものだと考えました。過去や現在の経験を事実として捉えるのではなく、自身がそれにどういう意味付けを行ったかが大事で、それが未来に繋がっていくと考えたのです。
そのうえで、サビカスはキャリアを
- 職業パーソナリティ(What要素)
どんな業務が自分に合っているかを考えるための要素。看護師業務に関連した能力や欲求、価値観や興味など - ライフテーマ(Why要素)
なぜ看護師を選んだのか考えるための要素。看護師の職を選んだ意味や人とどう関わっていくかもこれに当たる - キャリア適合性(How要素)
環境の変化にどう適応するか。課題や困難を解決するためのツールが当たる
の三つの段階に分けてキャリアを考えることが大切だと説きました。
職業的パーソナリティの活用法
看護師の業務は多岐にわたります。看護師の資格を活かし検疫官や医療ケアシッター、アテンダントナースなど病院を飛び出して働くことも可能です。看護師の資格を活かしどんな業務(What)をしていこうか考える際は、これまで培った能力をどう生かしたいのか、どんな出来事に興味を持ち、価値を見出し、またやりたいと欲したのか。感情と出来事をむずびつけて過去を振り返ってみると良いでしょう。
ライフテーマの活用法
ライフテーマとは、個人の価値観の中で重要なことを指します。また、個人が直面した課題や職業上の転機に、あなたが何を感じどんな行動を取ったのか、意味づけながら語ることをキャリアストーリーといい、サビカスはキャリアストーリーを他人との関わりの中で語るうちにライフテーマが見つかると考えました。
何言ってるかよくわからないですね(笑)
ごく簡単に言えば、看護師になってから今まで周りの環境が変わったり求められる業務が変わったり、役職に付いたり、そのような変化に対しあなたが過去どう向き合ってきたのかをヒントに未来の対応を考えましょうということです♪
キャリア適合性の活用法
キャリア・アダプタビリティという考え方が有ります。これは、人は職業を通して社会の中で役割を果たし、そこで成功と満足を得るには、社会変化への適応が必要だとする考え方で、「関心・統制・好奇心・自信」の4つの次元から成り立っています。
これも難しそうですが、
- 関心=今後のキャリアにどんな未来を描いていますか?
- 統制=キャリアを自分でコントロールできていますか?
- 好奇心=自分でコントロールできるなら、どんなキャリアを歩みますか?
- 自信=3のキャリアを実現する自信が持てるようにしよう!
ということです。具体的な例を挙げると
- アテンダントナースになりたい
- 語学力がまだ十分でない(自分でコントロール可)/現在募集が無い(コントロール不可)
- 語学堪能、飛行機の中で体調を崩した外国人旅行者もスムーズにケアし対応できるアテンダントナースになりたい
- 自信を持つには、幅広い疾患の知識と語学の鍛錬が必要!
という具合です。コントロール不可な事情があるとすぐ諦めてしまいがちですが、コントロール可能な事情に目を向け、自信が持てるよう向上させる努力をして欲しいです。新しく募集が有ったときに自信を持って受けられる自分になるための機械だと思いましょう。
努力すれば夢は叶いますか?こう聞かれた時私は「叶わないこともある、でも、叶えようと必死で頑張ってきた人には必ず次の道が開ける。その道で成功することが出来るはずだよ」
と答えています。これは本心であり、看護塾で受験生をずっと見て来た私が自信をもってお伝えできる事実です。
キャリアアデザイン構築論まとめ
いずれの要素でも、自身の経験を主観的に意味づけ言語化することで自身のキャリアに対する価値観を明確にし今後のキャリア形成に生かそうとする点が特徴です。
あなただけの看護師キャリアを考える③プライベートやライフスタイルをヒントに
改めて、看護師のキャリアデザインとは何でしょうか?
私は「わたしが思い描く理想の人生を実現するために看護師のわたしが歩んでいく道」の事だと考えます。
従来は、あくまで看護師としての役割が中心で、その充実のためにプライベート、家族と過ごす私生活も考慮しようという考えが主流でした。
40代以上の看護師さんは「看護師にプライベートなんて無い!」という時代を生きて来たので、病棟の研修や個別面談で看護師キャリアデザインを考える際も、仕事の事だけを考えさせられることもあったかもしれません。
しかし私は、「看護師としてのわたし」の前に「ひとりの人間としてのわたし」が優先しても良いと考えています。「看護師としてのあなた」は「ひとりの人間としてのあなた」をより輝かせ日々に充実感を持たせるための、一面にすぎないと思うのです。
ワーク・ライフ・バランス(職業人であるまえに生活者でもあり、そのバランスを取り両方を充実させようという考えかた)と言う言葉も、他職業では一般的になっていますが、なぜか看護師さんはじめ医療者には「看護師としてのわたし」を中心に据えなくてはいけないという圧力が掛けられているように感じます。
ですが、人間としての充実が無ければどんな仕事でも一流にはなれませんし、良い仕事は良いプライベートが有って成り立つものだと考えています。実際に、仕事一筋な人よりも、多趣味でプライベートも充実させている人の方が出世が早かったり仕事も出来たりするものです。
ですから、私は看護師のキャリアはプライベートな部分、看護師以外の自分も充分に考慮して描かれなければならないと切に考えています。
マズローの欲求5段階説では、自己実現の欲求が最も高次元な欲求で、看護師としての自分を高めていくことに喜びを感じるような生き方が良いものとされていました。
しかし、現在は選択理論心理学を提唱したウィリアム・グラッサーが欲求の御段階を否定し、どの段階でどの欲求が強くなるかは個人個人によって異なるという考えが隆盛しています。
看護師としての自己実現よりもプライベートの欲求を重視することは決して低次元な欲求ではないのですし、プライベートの充実を計ることは決して悪いことではありません。
それでもやっぱり、「患者さんの命を預かっているのだから自分のプライベートを優先してはいけない」という人がいるかもしれません。ですが、そんなことを言っていては、看護師になりたいと思う人がどんどん減ってしまいます。そうなれば、人手不足が加速し、結局は患者さんを困らせることにもなります。
「看護師としてどう生きるか」ではなく、「人生の中に看護師の仕事をどう組み込んでいくか」が大切なのです。
プライベートからキャリアデザインを考えるときに知っておきたい【ワーク・ライフ・バランス】
ワーク・ライフ・バランスとは、看護師さんが仕事とそれ以外のプライベート(家庭・趣味・生涯学習・休養など)のバランスを取り、両方を充実させようとする働き方や生き方の事です。
その場で行き当たりばったりにプライベートと仕事の重点を変えていくことではありません。目指すところはもっと上です。どちらかが充実しているよりも、両方が充実している方がいいに決まっていますよね。
ですから、仕事を効率的にこなしたりオンオフの切り替えスキルを身につけることで、プライベートな時間を作ったり、プライベートを楽しめる心の余裕を持とうとすることがワーク・ライフ・バランスなのです。
あなたのワーク・ライフ・バランスを充実させるために
ワーク・ライフ・バランスを充実させるためには
- オンオフの切り替えスキルやプライベートを充実させるスキルを磨く
- プライベートと仕事を両立させるために職場にどんな制度が存在しているかを確認する
- キャリアの各段階における自身の役割を理解する
の3点が大切です。➀については
に詳しく書いてありますのでここでは割愛致します。
②は人生の転機に合わせて転職する際は今の自分に必要な制度や仕組みが整っているか皆さん確認して応募するのですが、若いうちはそこまで確認せずに応募してしまう人が多いです。
すぐ辞めるつもりだったけどいざ働いてみたらとても良い職場でずっと続ける気になった。でも院内託児所が無いからやめざるを得ない、時短勤務制度が無いから働き続けるのは厳しいかな、、。そんなことにならないように、長期的な視野で(ずっと勤め上げることを見越して)必ずチェックするようにしましょう。
特に、
- 結婚・出産休暇の有無
- 育児休暇の充実度
- 短時間勤務や夜勤なし勤務などフレキシブルな働き方の可否
- 院内保育園の有無
- 子どもの看護休暇制度の有無
- 介護休業・介護休暇の可否や機関、給与の支払いの有無
などは必ずチェックするようにし、記載がない場合は面接前に病院に電話をしたり転職サイトのエージェントに質問して確認しておきましょう。
③キャリアの各段階における自身の役割については、ドナルド・E・スーパーのキャリア・ライフ・レインボーが参考になります。スーパーは人の役割を
- 子供
- 学生
- 余暇を楽しむ人
- 市民
- 職業人
- 配偶者
- 家庭人
- その他
の8つに分けました。8つの役割は自分で選択することもあれば周囲の環境に合わせなくてはならないときも有ります。複数の役割を同時に担うことも有ります。
大切なのは、自身が今どんな役割を求められているのか、どんな役割を担いたいのかを意識してそれぞれの役割のバランスを図ることです。
看護師のキャリアデザインまとめ
キャリアとは
- 成功も失敗もないもの
- 自分の尺度で決定し、自分自身が評価するもの
- 人生を充実させるために描くもの
です。
転職に成功する看護師さんと失敗する看護師さんの違い~まとめ~
いかがでしたでしょうか。紹介したそれぞれのキャリアデザイン論を参考にしながら、自身だけのデザインを描いてください。応援しています!