こんにちは!かっきーです。今回は空港に付帯するクリニックで働く看護師さん【エアポートナース】をご紹介します。また、空港で働くのが夢!だったという方は、狭き道だったフライトアテンダントやグランドスタッフの道を、看護師資格を生かして突破する道もご紹介していますので、最後までお読みいただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
【この記事を読むメリット】
- 務めている病院からの情報ではなく、客観的な視点からの看護師キャリアデザインが学べる!
- 転職を考えている人も今の職場に不満が無い人も、全員に役立つ看護師キャリアの考え方がわかる!
- お給料や待遇以外で病院やクリニックその他の進路を選べるようになる!
- 将来に向けて、今何をやるべきかが分かり、実戦できる!
- この記事を読んでも悩みが解決しなかった場合、個別相談(無料)が受けられる!
看護師キャリアの王道論~あなただけのキャリアデザインの築き方~
人生や仕事の結果は、熱意と能力と考え方の掛け算である
稲盛和夫(日本の経営者)
看護師のキャリアデザインとは何でしょうか。ざっくり言えば「自身が理想とする看護師像を実現するために歩むべき道」と言えるかと思います。学生時代から、そして職場でも「キャリアデザインを考えることの重要性」を幾度となく聞かされてきたと思います。しかし、
- 24時間365日体制で、複数の患者さんを同時に担当、入れ替わりも激しいので仕事の切れ目がない
- 社会生活上、勤務先の病院以外との接点が持ちづらい
- 日々の業務で精一杯
などの理由でキャリアを考える機会や環境に恵まれていません。だからどうしてもキャリアデザインがおろそかになってしまいます。皆さんの中にも、なぜそんなものが必要なのか、疑問に感じている人もいらっしゃると思います。
ですから、まずはなぜキャリアデザインが重要なのか。その理由を挙げたいと思います。
キャリアデザインの価値➀日々のモチベーションになる→「まず描いてみる」ことが大事!
何かのインタビューで、サッカー元日本代表の本田圭佑選手が
「目標が決まり、その為に何をすべきかわかったら、その目標はもう達成されている」
と語ったのを見ました。そして私は、その言葉に大変衝撃を受けました。
私のような凡人は、目標が決まって何をすべきかわかっても、その実現のために日々努力することが大変で、挫折してしまうことが多々あります。目標が決まっても、実際に達成に向けて努力し続けるのが大変なんだと。
しかし、本田選手にとっては、自分がやりたくて決めたことなんだから、どんなに苦しくても、やるに決まっている。だから彼にとっては、目標が決まることと達成することはイコール関係なのです。
それまでは、本田選手のビックマウスは苦手だったのですが、凄いメンタルだなあと、それからはすっかりファンになってしまいました。
キャリアデザインを描くことは、本田選手の言う「目標が決まり、その為に何をすべきかわかったら」の部分に当たります。私は講師業もしていますが、勉強をしない生徒は良く「何をしてよいかわからない」と言います。
そのように、やるべきことがはっきりしないと、人はモチベーションを保てないものです。本田選手のように「キャリアデザインを描く=達成」の領域に達するのは中々難しいですが、なりたい自分を明確に描くことが、日々努力するための原動力になるのは確かです。
特に若い看護師さんは、キャリアデザインは一生ものと考え今の私にはまだ看護観を語れないと先送りにしがちですが、立てること自体がモチベーションに繋がります。
そもそもキャリアデザインは年齢や立場、家庭や社会の変化によっても変わっていくもの。今のあなたが求めるキャリアを考えることが、日々を有意義に過ごすことに繋がるのではないでしょうか。
キャリアデザインの価値②進路決定の明確な基準になる→待遇で職場を選ばなくなる
なにを基準に意思決定を行うか、明確な基準があると人生の転機にも意義深い決定を下すことができます。
逆に明確なキャリアデザインが無い看護師さんは「給料が高い病院に務めたい」「家から近いところに務めたい」「福利厚生がしっかりしているところが良い」など、転職先を探す際にどうしても待遇面や働きやすさが病院選びの基準になってしまいます。
勿論、全く同じ環境で全く同じ業務をするなら給料が高いに越したことはないでしょう。しかし経営者の目線に立ってみて下さい。経営者にとって、人件費は節約できるに越したことはありません。
経営が苦しい場合は勿論ですが、例え十分な利益が出ていても、25万円のお給料で看護師さんがバンバン来て職場に定着してくれるなら、わざわざ30万円の給料を出す必要はないのです。
言い方は悪いかもしれませんが、経営者は基本的に「求める人材が集まってくれる最低限の待遇」で従業員を集めるものです。
利益が出ている場合ボーナスや手当で従業員さんに還元しますが、基本給は一度上げるとその後景気が悪くなっても下げることが出来ないため、利益が出ているから給料を上げるという考えは基本的にしないものなのです。
では給料が異様に高い職場が有るのはなぜか?
はっきり言うと、「給料が高い」「待遇が良い」のは、そうしないと看護師さんが定着いてくれない理由があるからです。勤務時間外の実拘束時間が長かったり、研修制度が充実していなかったり、年齢層に偏りがあり教育体制が上手く機能していなかったり。
ですから、「待遇が良い=何かしら大変なことがある!」と考えておいた方がいいと思います。
また、あなたが今の病院を辞めたくなった理由、苦しくて涙した理由を思い返してみて下さい。給料が低いからですか?家から遠いからですか?
そうじゃないはずです。多くの看護師さんは、職場を待遇で選びながらも実際は「職場の人間関係がよくない」「自分のやりたい看護が出来ない」「夜勤も多くて研修も多くて業務量が多すぎる!」「スキルが磨ける環境ではなくモチベーションが上がらない」など待遇以外の部分で悩み、苦しんでいるのです。
看護師さんは仕事熱心で真面目です。待遇待遇と言いながらも、本当は看護師としての自分がこの病院で何が出来るのか、どう向上していけるのか、患者さんの役に立てているのか、そんなことを日々考え、悩んでいるのです。
看護師さんは待遇よりも自身の求める看護が出来る職場かどうかで職場を選ぶことが、結局は自身の満足や充実に繋がると思います。
また、それを判断するためにも、自身のキャリアデザインをしっかりと決めておく必要が有ります。キャリアデザインがはっきり決まっている看護師さんは、優先すべき軸が自分の中にしっかりとあるので、待遇は二の次と考えられるようになります。
キャリアデザインの価値③日々の成長が実感できるようになる→自分の看護に自信が持てる
看護師さんに限らず、どんな業務でも経験は何よりの武器です。一日業務に付けば一日分成長します。勿論仕事に臨む態度や向上心などによって大きな差は有りますが、一日分の経験がキャリアにマイナスになることはないでしょう。
どんな人も日々成長しているのです。ただ、キャリアデザインが無く明確な目標を描けていないと、その成長を実感しにくいのです。
逆に、こんな看護師になりたい。そのためにはどんな能力やスキルが必要だ。〇〇先輩はわたしの理想に近い看護を患者さんに提供している、よく観察してみよう。そのような目的意識があると、成長も早いですし、成長した自分を感じやすく、自信を持って業務に当たれるようになります。
日々業務目標を書かされている看護師さんも居ると思いますが、それも成長に繋げて欲しいという病院の想いからです。しかし、日々の目標が効果を発揮するには、前提として大きなデザインが描けていないといけません。
ただでさえ、看護師は人員配置の制約などから事務的に仕事を割り振られることも多く、目標を決めていてもその達成に繋がらないような仕事に奔走しなくては行けなかったりします。
他業種よりも強く意識しないと、せっかくのデザインや目標も日々の業務に埋もれがちになってしまうのです。
ですから、日々の業務がキャリアを作ることを理解し、キャリアデザインの価値を強く自覚する必要が有るのです。
キャリアデザインの意識があると、日々の業務にメリハリがつきます。メリハリがつくと、同じ業務量でも疲れのくいというメリットも有りますよ♪
具体的なキャリアデザインの描き方
1得意・適性からキャリアデザインを考える
好きなことと得意なこと、仕事にするならどちらが良いか。私が大学時代によく考えていたことです。その時の私は好きなことを優先したのですが、今は得意を優先したキャリアを選択して、こうして悩み相談をしています。
なぜ得意を優先した方が良いかと言うと、「得意なことは勝手に好きになるから」です。人は、他人よりできることは勝手に好きになるように出来ているのです(笑)ですから、得意なことを選べば「好き」「得意」を両取りできると思うのです。
得意・適性からキャリアを考える人におすすめ!シャインの【キャリア・アンカー】
キャリア・アンカーとはアメリカの心理学者エドガー・シャインが考えたキャリアデザインの手法です。アンカーとは船をつなぎとめる錨のことで、どんな波が来ても船をつなぎとめる錨のように、たとえ周囲の環境が変化しても変わることの無い自身の価値観や欲求を指します。
シャインは、アイデンティティは「得意」「欲求」「自身の存在意義」によって形成され、アイデンティティ、つまり「自分はこういう人間だ」という意識がキャリア・アンカーに繋がると考えました。
そしてシャインは、アンカーを以下の8つのカテゴリーに分けました(コンピタンス=能力と読み替えてOKです)
※→の後は私が考えたそのアンカー該当者に向いているであろうキャリアです。シャイン氏や下記調査の中で述べられた考えではありませんのでご了承ください)。
- 専門・職能別コンピタンス
(専門性やスキルの向上に幸せを感じる。プロフェッショナル思考→専門看護師など) - 全般管理コンピタンス
(組織の中で価値ある役割を果たすことに幸せを感じる→長く勤め師長や部長への昇任) - 自律・独立
(ルールに縛られず自分のやり方の真っ当に魅力を感じる→看護学校や大学の教員など) - 保障・安定
(雇用の安定性や将来を見通せる環境に安心を感じる→大学病院や市立病院など大病院など) - 起業家的創造性
(自分にしか出来ない事で社会に新しい価値を提案したい→医療系ライターやセミナー講師など) - 奉仕・社会貢献
(金銭的なやりがいよりも精神的な充実や社会貢献を重視→訪問看護や介護施設) - 純粋な挑戦
(人生を冒険と捉え、困難への挑戦や問題の解決に人生を賭ける価値を見出す→検疫官や医療ケアシッターなど) - 生活様式
(プライベートやライフスタイルを重視し個人や家族の欲求の充足を求める→クリニックやフリーランス看護師)
キャリア・アンカーの診断方法
キャリアアンカーの診断方法は簡単です。下記の表の中から自身のイメージに有ったり、魅力的に感じるキーワードを数え上げてください。最も多かったアンカーがあなたのキャリア・アンカーです。
アンカー | キーワード | 数 |
専門・職能別コンピタンス | 専門分野、専門的な知識、専門家、高いスキル、第一人者、プロフェッショナル、スペシャリスト、その道のプロ、得意分野で頼られたい | |
全般管理コンピタンス | 管理職、昇進、権限、パワー、権力、リーダー失費、マネジメント、経営管理、肩書、序列、出世 | |
自律・独立 | 自由、自立、自律、独立。自分のペース、自分らしさ、自由度、裁量範囲、規則に縛られたくない、自由裁量 | |
保障・安定 | 安全、安定、手堅い、着実な、パターン化、慣れた、リスクの少ない、集患的な、確実な、保証がある | |
起業家的創造性 | 企業、起業家、創業、創意工夫、ビジネスチャンス、新しいこと、オーナー、新規事業、プロジェクト立ち上げ、ビジネスプラン | |
奉仕・社会貢献 | 人のため。世の中に尽くす、世界平和、奉仕、役に立つ、多くの人に感謝、貢献、援助、支援、自分の理想 | |
純粋な挑戦 | 挑戦、克服、競争、達成、ライバル、障害を乗り越える、不可能を可能にする、勝ちにこだわる、チャレンジ、達成感 | |
生活様式 | 十何、過程、趣味、プライベート、ケースバイケース、調整、ワークライフバランス、生きやすさ・働きやすさ、充実感 |
周りの看護師さんはどんなアンカーを持っているんだろう?
なお、看護師さん全体のキャリア・アンカーを調査した研究が有ります。周りの看護師さんはどんなアンカーを持っているのか気になる方もいらっしゃると思いますので、参考として掲載しておきます。研究自体も興味深く示唆のある内容になっていますので、興味のある方は是非リンクから研究に飛んでみて下さい。
看護師(平均年齢32.1歳、平均経験年数9.7年)を対象とした調査では左記のように【生活様式】をキャリア・アンカーと考える看護師さんが最も多く、次いで【保障・安定】【専門・職能別コンピタンス】が多くなっています。
また当調査によると看護師さんの経験年数や配偶者の有無、子供の有無などの生活環境によっても大差はなく看護師全般にこの傾向が当てはまるようです。
詳しくは左記リンクをご参照ください。
2過去のストーリーからキャリアデザインを考える
子どものころ、なぜ看護師を目指したのか。これまで何をしてきたか。何をしているときに喜びを感じたか。どんな業務が自分に合っているか、私は今後どう生きていきたいのか、、そんな自問自答を繰り返し自分の物語を作ることであなただけのキャリアを考えるのも良いでしょう。他のキャリアデザイン論に比べ感情や主観的な要素を重視するのが特徴です。
過去の経験からキャリアデザインを考える人におすすめ!サビカスの【キャリア構築理論】
過去の経験をヒントにキャリアを考える際に有効なのが、サビカスのキャリア構築理論です。サビカスは、キャリアは客観的な出来事の繋がりで作られるものではなく、主観的なものだと考えました。過去や現在の経験を事実として捉えるのではなく、自身がそれにどういう意味付けを行ったかが大事で、それが未来に繋がっていくと考えたのです。
そのうえで、サビカスはキャリアを
- 職業パーソナリティ(What要素)
どんな業務が自分に合っているかを考えるための要素。看護師業務に関連した能力や欲求、価値観や興味など - ライフテーマ(Why要素)
なぜ看護師を選んだのか考えるための要素。看護師の職を選んだ意味や人とどう関わっていくかもこれに当たる - キャリア適合性(How要素)
環境の変化にどう適応するか。課題や困難を解決するためのツールが当たる
の三つの段階に分けてキャリアを考えることが大切だと説きました。
職業的パーソナリティの活用法
看護師の業務は多岐にわたります。看護師の資格を活かし検疫官や医療ケアシッター、アテンダントナースなど病院を飛び出して働くことも可能です。看護師の資格を活かしどんな業務(What)をしていこうか考える際は、これまで培った能力をどう生かしたいのか、どんな出来事に興味を持ち、価値を見出し、またやりたいと欲したのか。感情と出来事をむずびつけて過去を振り返ってみると良いでしょう。
ライフテーマの活用法
ライフテーマとは、個人の価値観の中で重要なことを指します。また、個人が直面した課題や職業上の転機に、あなたが何を感じどんな行動を取ったのか、意味づけながら語ることをキャリアストーリーといい、サビカスはキャリアストーリーを他人との関わりの中で語るうちにライフテーマが見つかると考えました。
何言ってるかよくわからないですね(笑)
ごく簡単に言えば、看護師になってから今まで周りの環境が変わったり求められる業務が変わったり、役職に付いたり、そのような変化に対しあなたが過去どう向き合ってきたのかをヒントに未来の対応を考えましょうということです♪
キャリア適合性の活用法
キャリア・アダプタビリティという考え方が有ります。これは、人は職業を通して社会の中で役割を果たし、そこで成功と満足を得るには、社会変化への適応が必要だとする考え方で、「関心・統制・好奇心・自信」の4つの次元から成り立っています。
これも難しそうですが、
- 関心=今後のキャリアにどんな未来を描いていますか?
- 統制=キャリアを自分でコントロールできていますか?
- 好奇心=自分でコントロールできるなら、どんなキャリアを歩みますか?
- 自信=3のキャリアを実現する自信が持てるようにしよう!
ということです。具体的な例を挙げると
- アテンダントナースになりたい
- 語学力がまだ十分でない(自分でコントロール可)/現在募集が無い(コントロール不可)
- 語学堪能、飛行機の中で体調を崩した外国人旅行者もスムーズにケアし対応できるアテンダントナースになりたい
- 自信を持つには、幅広い疾患の知識と語学の鍛錬が必要!
という具合です。コントロール不可な事情があるとすぐ諦めてしまいがちですが、コントロール可能な事情に目を向け、自信が持てるよう向上させる努力をして欲しいです。新しく募集が有ったときに自信を持って受けられる自分になるための機械だと思いましょう。
努力すれば夢は叶いますか?こう聞かれた時私は「叶わないこともある、でも、叶えようと必死で頑張ってきた人には必ず次の道が開ける。その道で成功することが出来るはずだよ」
と答えています。これは本心であり、看護塾で受験生をずっと見て来た私が自信をもってお伝えできる事実です。
キャリアアデザイン構築論まとめ
いずれの要素でも、自身の経験を主観的に意味づけ言語化することで自身のキャリアに対する価値観を明確にし今後のキャリア形成に生かそうとする点が特徴です。
3プライベートやライフスタイルを軸にキャリアデザイン考える
改めて看護師のキャリアデザインとは何でしょうか。私は「わたしが思い描く理想の人生を実現するために看護師のわたしが歩んでいく道」の事だと考えます。
従来は、あくまで看護師としての役割が中心で、その充実のためにプライベート、家族と過ごす私生活も考慮しようという考えが主流でした。
40代以上の看護師さんは「看護師にプライベートなんて無い!」という時代を生きて来たので、病棟の研修や個別面談で看護師キャリアデザインを考える際も、仕事の事だけを考えさせられることもあったかもしれません。
しかし私は、「看護師としてのわたし」の前に「ひとりの人間としてのわたし」が優先しても良いと考えています。「看護師としてのあなた」は「ひとりの人間としてのあなた」をより輝かせ日々に充実感を持たせるための、一面にすぎないと思うのです。
ワーク・ライフ・バランス(職業人であるまえに生活者でもあり、そのバランスを取り両方を充実させようという考えかた)と言う言葉も、他職業では一般的になっていますが、なぜか看護師さんはじめ医療者には「看護師としてのわたし」を中心に据えなくてはいけないという圧力が掛けられているように感じます。
ですが、人間としての充実が無ければどんな仕事でも一流にはなれませんし、良い仕事は良いプライベートが有って成り立つものだと考えています。実際に、仕事一筋な人よりも、多趣味でプライベートも充実させている人の方が出世が早かったり仕事も出来たりするものです。
ですから、私は看護師のキャリアはプライベートな部分、看護師以外の自分も充分に考慮して描かれなければならないと切に考えています。
マズローの欲求5段階説では、自己実現の欲求が最も高次元な欲求で、看護師としての自分を高めていくことに喜びを感じるような生き方が良いものとされていました。
しかし、現在は選択理論心理学を提唱したウィリアム・グラッサーが欲求の御段階を否定し、どの段階でどの欲求が強くなるかは個人個人によって異なるという考えが隆盛しています。
看護師としての自己実現よりもプライベートの欲求を重視することは決して低次元な欲求ではないのですし、プライベートの充実を計ることは決して悪いことではありません。
それでもやっぱり、「患者さんの命を預かっているのだから自分のプライベートを優先してはいけない」という人がいるかもしれません。ですが、そんなことを言っていては、看護師になりたいと思う人がどんどん減ってしまいます。そうなれば、人手不足が加速し、結局は患者さんを困らせることにもなります。
「看護師としてどう生きるか」ではなく、「人生の中に看護師の仕事をどう組み込んでいくか」が大切なのです。
プライベートからキャリアデザインを考えるときに知っておきたい【ワーク・ライフ・バランス】
ワーク・ライフ・バランスとは、看護師さんが仕事とそれ以外のプライベート(家庭・趣味・生涯学習・休養など)のバランスを取り、両方を充実させようとする働き方や生き方の事です。
その場で行き当たりばったりにプライベートと仕事の重点を変えていくことではありません。目指すところはもっと上です。どちらかが充実しているよりも、両方が充実している方がいいに決まっていますよね。
ですから、仕事を効率的にこなしたりオンオフの切り替えスキルを身につけることで、プライベートな時間を作ったり、プライベートを楽しめる心の余裕を持とうとすることがワーク・ライフ・バランスなのです。
あなたのワーク・ライフ・バランスを充実させるために
ワーク・ライフ・バランスを充実させるためには
- オンオフの切り替えスキルやプライベートを充実させるスキルを磨く
- プライベートと仕事を両立させるために職場にどんな制度が存在しているかを確認する
- キャリアの各段階における自身の役割を理解する
の3点が大切です。➀については
に詳しく書いてありますのでここでは割愛致します。
②は人生の転機に合わせて転職する際は今の自分に必要な制度や仕組みが整っているか皆さん確認して応募するのですが、若いうちはそこまで確認せずに応募してしまう人が多いです。
すぐ辞めるつもりだったけどいざ働いてみたらとても良い職場でずっと続ける気になった。でも院内託児所が無いからやめざるを得ない、時短勤務制度が無いから働き続けるのは厳しいかな、、。そんなことにならないように、長期的な視野で(ずっと勤め上げることを見越して)必ずチェックするようにしましょう。
特に、
- 結婚・出産休暇の有無
- 育児休暇の充実度
- 短時間勤務や夜勤なし勤務などフレキシブルな働き方の可否
- 院内保育園の有無
- 子どもの看護休暇制度の有無
- 介護休業・介護休暇の可否や機関、給与の支払いの有無
などは必ずチェックするようにし、記載がない場合は面接前に病院に電話をしたり転職サイトのエージェントに質問して確認しておきましょう。
③キャリアの各段階における自身の役割については、ドナルド・E・スーパーのキャリア・ライフ・レインボーが参考になります。スーパーは人の役割を
- 子供
- 学生
- 余暇を楽しむ人
- 市民
- 職業人
- 配偶者
- 家庭人
- その他
の8つに分けました。8つの役割は自分で選択することもあれば周囲の環境に合わせなくてはならないときも有ります。複数の役割を同時に担うことも有ります。
大切なのは、自身が今どんな役割を求められているのか、どんな役割を担いたいのかを意識してそれぞれの役割のバランスを図ることです。
看護師のキャリアデザインまとめ
キャリアとは、
- 成功も失敗もないもの
- 自分の尺度、価値観で、人生を充実させるために、進むべき道を決定するもの
- 自分自身で評価できるもの
です。しかし、それは、上記のような正しい方法、考え方で真摯にキャリアと向き合った場合です。
この記事の冒頭で、稲盛和夫氏の言葉を引用したのを覚えているでしょうか。
「人生や仕事の結果は、熱意と能力と考え方の掛け算である」
式で表すと、【結果=熱意×能力×考え方】ですね。
しかし、実はこの式、熱意と能力は0~100までの数字で表すことが出来るのですが、考え方は-100~100までで表されているのです。
つまり、どんなに熱意や能力が有っても、考え方が悪ければ大きなマイナスになってしまうということです。
稲盛氏は、キャリアの考え方が如何に大事か伝えるとともに、「一日一日を深く考えずただなんとなく生きていると、実はキャリアは停滞するどころかマイナスに進んでいく」ことを表したかったのです。
紹介したそれぞれのキャリアデザイン論を参考に、あなただけのデザインを描き、仕事と人生を充実させてください。
【参考文献】
看護師のためのキャリアデザインBOOK,濱田安岐子,つちや書店,2018
看護の現場で活躍できる 看護師のためのキャリアナビ ,大坪陽子 (著), 雜賀智也 (著), 荒神裕之 (監修), 秀和システム,2021
「目標が持てない時代」のキャリアデザイン 限界を突破する4つのステップ,片岡 裕司 , 阿由葉 隆他,日本経済新聞出版,2021
看護師のキャリアアンカー形成における傾向,住田,坂口,盛岡,鈴木,日本看護研究会雑誌Vol.33,2010