役に立つ!看護師いろいろデータ集(平均給料/求人倍率/離職率など)

同期の看護師仲間

【この記事を読むメリット】

  • 看護師さんの待遇や求人に関する平均値が分かる→他の看護師さんと比べ恵まれているか分かる(笑)
  • 転職活動の参考に!
  • お楽しみ読み物ページとして(^^♪
目次

役に立つ!看護師いろいろデータ集(平均給料/求人倍率/離職率など)



ここでは看護師さんのキャリア選択に役立つ(かもしれない)色々なデータをまとめて紹介しています。

単純に見ていても楽しいのではないかな~と思いますし、他業務への転職を考えてる人は看護師と他業務を、他医院への転職を考えている看護師さんは自院が他院と比べてどうなのか、比較検討にご利用頂ければと思います。

お金に関するあれこれ

1正看護師・准看護師の平均給与・賞与・年収

平均パート時給平均給与平均賞与平均年収
正看護師1,768円約33.8万円約85.8万円約492万円
准看護師1,518円約28.8万円約67.8万円約413万円
厚生労働省『令和二年度賃金構造基本統計調査』

https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/chingin/improvement/pdf/teigen_cas.pdf

2病院とクリニックの平均年収と、経営目線で考える看護師と医師の給与差

看護師医師※1看護師と医師の年収差
一般病院(全体)507万円1491万円984万(2.94倍)
一般病院(国立)543万円1432万円889万(2.64倍)
一般病院(公立)560万円1514万円954万(2.70倍)
一般病院(私立※2)455万円1641万円1186万(3.60倍)
一般診療所(有床)414万円1216万円802万(2.93倍)
一般診療所(無床)384万円1870万円1486万(4.86倍)
第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告
中央社会保険医療協議会令 和 元 年 11 月
より作成

※1
無床診療所は1人医師クリニックや、勤務医を雇っても常勤換算で1,2名のところが多いため、院長年収2699万と勤務医年収1040万円の平均で計算。有床診療所病院や病院は医師数が多いため院長の収入は考慮しませんでした。
※2
引用元では医療法人と記載されているのですが、一般医療法人はほぼ私立病院です。私立病院には法人ではない個人病院もあるのでイコールではないのですが、わかりやすさを重視して今後このページでは私立病院と記載させて頂きます。この記載は参照元のものではなく私独自のアレンジですのでご理解ください。

国公立の病院と比べ、私立病院や診療所は医師と看護師の給与差が大きい点に注目です。国や公的機関が経営方針や職員の給与を決定する国公立病院と比べ、私立病院や診療所は医師である経営者の意見が取り入れやすかったり、医師を優遇した環境になっています。

日本看護協会は看護師の賃金の底上げや夜勤など勤務体系の見直しを提案していますが、拘束力が有るものではないため、私立病院の医師・看護師の待遇差はなかなか改善されそうにありません。

なお、看護協会は「労働の大変さや責任は医師と大きく変わるものではない」という理由で待遇の改善を主張していますが、このような主張の仕方は効果的ではありません。特にアジア社会では「今その業務が大変かどうか」ではなく「その業務に就くのがどれほど困難か」で給与が決まる傾向にあります。そして、これが悪いかというと、そうとは言い切れないのです。

なるまでに大変な努力や能力を要する職業に就いても、待遇が他の職種と変わらない〉のであれば、誰も青春時代を犠牲にして勉強してくれなくなるからです。

医師に限ったことではなく、社会全体も、そのような仕組みを取っていないと新しい技術も仕組みも生まれくにに、社会が停滞しかねません。よく私の塾でも「数学なんて将来使わない、勉強する必要ない」という生徒がいますが「数学が無ければ、今〇〇(生徒)さんが見ているYoutubeもtictokも、iphone自体だって、全部なくなるよ?数学を頑張った人が、数学を駆使して作ってくれたんだから、感謝しないとね」と言っています。

社会を変化させるような研究や開発は、大人になって企業や組織に入ってから学び始めても実現は難しいのです。若いときから遊びたい気持ちを抑え勉強し続け、積み重ねた人しか出来ないことが有るのも事実です。

頑張ってくれる若者を減らさないためにも、「学生時代に頑張っておかないと就けない職業があり、その職は好待遇が保証される」というシステムを作っておくことは、社会全体にとって有益なことなのです。

医師や弁護士、キャリア官僚、研究者といった若いうちに大変な学習量が必要になる職業のクオリティを高く保つためには、ある程度の給与差・待遇差は仕方ないのです。

ただし、医師と看護師を比較したときに、その「ある程度の差」と現実的に考えられているのが、上記国立病院で見られる2.64倍と言えます。

私立病院の3.6倍は行き過ぎと言えるでしょう。ですので、私立病院に勤務している看護部長さんなどが人事部・事務長・経営陣などに賃上げ要求する際は、上記データをもとに、「ウチの病院は医師と看護師間の格差が一定の限度を超えていませんか?」と訴えてみてはどうでしょうか。私たちも頑張っている!と感情に訴えるよりは、合理的な賃上げ交渉になるのではないでしょうか。

感情的に賃上げ要求をしても「うちの経営状況だと妥当な額です」と乗り切られてしまいます。しかし、医師-看護師間の差が他医院に比べ大きいことをデータで示されると、「それなら医師側の給与をまず減額しないとですね」と言えてしまいます(笑)。医師である経営陣には相当イタい指摘になるでしょう。アメリカでは院長・事務長・看護師長とそれぞれの視点を取り入れた経営システム(三頭制)も普及しています。日本にも導入され、医師-看護師間の給与差が縮まるかどうかは看護師側の働きかけ方次第です。

3看護師の年代別平均給与

20~23歳24~27歳28~31歳32~35歳36~39歳40~43歳44~47歳48~51歳52~55歳56歳~
平均給与月額28.7
万円
32.1万円32.8万円33.9万円36.2万円37.7万円39.0万円39.2万円37.9万円38.1万円
想定年収344万円385万円394万円406万円434
万円
452万円468万円470万円455万円457万円
※1看護職員の収入増の必要性に関する意見書(公益社団法人 日本看護協会 令和3年11月25日)より作成

なお、全業種を合わせた年代別の平均年収は下記のようになっています。参考までに全職種の平均を下記に載せておきます。
看護師は最初は高いが段々一般のビジネスパーソンに抜かれていくとよく言われますが、実際はそんなことはありません。

多くの平均年収データは孫正義さんや三木谷浩史さんのような巨万の富を得た経営者や、外貨や不動産の投資で利益を得た投資家なども併せたデータになっています。

下記のような「賃金構造統計」の場合、看護師さん同様どの科の企業や組織に所属する従業員・労働者のみの平均になり、このデータでみると看護師さんの給料はずっと良い方であることがわかります。

20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳40~44歳45~49歳50~54歳55~59歳
男女計212.0万円244.6万円274.4万円305.2万円329.8万円347.4万円368.0万円368.6万円
女性209.2万円233.4万円246.8万円258.5万円268.3万円271.1万円274.7万円271.1万円
男性214.6万円252.6万円289.2万円328.3万円360.7万円387.9万円419.6万円420.1万円
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査(全国)

4専門学校or大卒看護師の初任給(データ)と生涯賃金の比較(考察)

全体平均国立病院公立病院私立病院
専門卒看護師26.4万円26.4万円26.1万円26.2万円
大学卒看護師27.1万円27.5万円27.2万円27.0万円
看護職の給与データ(2018年版)日本看護協会より作成

専門学校卒と大学卒では、初任給に大きな差は無い(全体平均で7000円/月)ことがわかります。また、給与の上昇幅も役職につかない場合はほとんど変わりません。しかし、
1同じ病院で働いていると、月7000円の差がずっと付き続ける
2役職に就く際に不利になることが有る
3助産師、保健師、看護大学教員など大卒でないと就けないキャリアが有る
など注意が必要な点もあります。

仮にもし月7000円の差が10年続けば(ボーナス3か月分で計算し)
7000円×10年×15か月分=105万円の差になります。30年務めると300万円の差です。

しかし、一端転職すると、専門卒か大卒かは関係なくなり経験年数で見られ売病院も多いです。

加えて、専門卒の場合一年早く働き始めることができ、かつ学費も安くなることを考えると、単純な給与でいると障害年収で考えた場合ほぼ差がないか、一年分のプラスと学費分を考慮すると、むしろ専門学校の方が高いかもしれません。

大学を出ることのメリットについてはこの記事(後でかく)に記していますが、ずっと病棟もしくはクリニックの看護師として勤務し役職や(教員などの)他キャリアは目指さないのであれば、専門学校卒で金銭的に不利になることはないと言えるでしょう。

5都道府県別新卒看護師初任給(大卒)比較

1位2位3位4位5位
手当込み千葉県
296,568
東京都
291,903
大阪府
289,243
神奈川県
287,529
静岡県
285,534
基本給埼玉県
219,303
神奈川県
219,249
千葉県
217,598
大阪府
216,883
東京都
215,298
日本看護協会調査研究報告 <No.96> 20212020 年 病院看護実態調査

埼玉県は基本給は高いけど手当は少ない。静岡県は基本給は少ないけど手当は充実しているということですね。

  • 基本給はボーナスの月額に含まれますが手当は含まれない
  • 昇給も基本給ベースでパーセンテージで上がっていくが手当は若手もベテランも変わらない

など、月の総支給額が同じでも手当が多いのか基本給が高いのかで違いが出てきます。

手当は通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当などです。特に私立病院だと病院による差も大きいのですが、都道府県によっても独自のルールや地域独自の暗黙の了解のようなものが有ったりします(例:田舎の僻地手当、北海道や東北の寒冷地手当や冬季暖房手当てなど)。

地元を離れて他県で働きたい方は、事前に調べておくと良いでしょう。



看護師さんのキャリアや働き方に関するデータ

1看護師の有効求人倍率

2019年2020年(4月)2021年(4月)2022年(4月)
有効求人倍率1.902.031.791.90
新規有効求人倍率2.071.851.751.89
厚生労働省 一般職業紹介状況より作成

2019年は年全体でみると2.46と高い有効求人倍率でした。2018年は2.50、2017年は2.56だったことを考えると、コロナ禍で看護師さんの求人も減ってきていると考えられます。看護師さんの数が増えて来て、一時の看護師不足が解消されつつあります。また、他業種を含めた日本全体の有効求人倍率は1.22倍ですので、看護師さんの就職・転職市場はまだまだ売り手市場(働きたい人が有利)と言えます。

2就労所別看護師数(平成22年~令和元年の推移)

病院診療所福祉施設※1訪問看護看護師計※2
平成22年91.1万人30.9万人13.7万人3.0万人147.0万人
平成26年97.8万人33.1万人16.3万人4.0万人160.3万人
令和元年101.8万人31.6万人19.3万人6.1万人168.3万人
伸び率11.7%2.3%40.9%103%14.5%
日本看護協会看護統計資料 総数(年次別・就業場所別)より作成

※1福祉施設は社会福祉施設・介護老人福祉施設・居宅サービス等の合計
※2看護師計は表以外のその他の就労先で働いている看護師を含めた総数

このように、国の地域包括ケア体制推奨もあり、訪問介護や介護施設で就労する看護師さんが飛躍的に増えていることがわかります。診療所や病院は就業者数のみ見れば増えていますが、看護師全体の数が14.5%増えていることを考えると、就業先として選択している看護師さんの割合は実は結構減ってきていることがわかります。

看護師=病院もしくはクリニック勤務が当然だった時代から比べると、看護師さんの働き方もかなり多様になってきています。当サイトでも紹介しているような、保育園看護師・看護臨床実習指導者・検疫官などは、新人看護師さんにはハードルが高いですが、経験を積んだ看護師さんの次のキャリアとしては魅力的なものを見つかると思います。看護師さんの多様な働き方に興味がある方は是非こちら(後でリンク追加)もご覧ください。

3正規雇用看護師さんの離職率の推移

全体新卒既卒
2018年10.7%7.8%17.7%
2019年11.5%8.6%16.4%
2020年10.6%8.2%14.9%
日本看護協会広報部2022年4月1日News Releaseより作成

なお、都道府県別では離職率が最も低いのは岩手県で5.6%、最も高いのは東京都の14.9%です。

4正規雇用看護師さんの就業先別離職率

全体新卒既卒
国立病院11.5%8.6%16.4%
公立病院10.2%7.4%11.3%
私立病院14.4%10.0%18.8%
社会福祉法人10.8%9.5%12.7%
日本看護協会調査研究報告 <No.96> 20212020 年 病院看護実態調査より作成

私立病院の離職率の高さが気になります。公的な監査や勧告が入る国立病院、公立病院に比べると、待遇や職場環境に不満を持っている看護師さんが多いということです。どこの病院でも「看護師さんの獲得と離職防止」は大きなテーマですが、更に深刻な問題である「医師の獲得と離職防止」に優先的な対策が講じられている印象です。

私立病院は現在どこも経営が苦しく、病院も金銭面で要求にこたえるのはなかなか難しいのです。看護師さんも、転職先を探す際は、金銭面だけに拘らず、多様な働き方やキャリア形成プログラムがあり、看護師さんのキャリア形成を考えた勤務体系が考えられているか、工夫の跡が見えるかどうかを判断基準にすると良いでしょう。詳しくは経営目線で考える!後悔しない転職術(リンク後で)!をご覧ください

5病院管理職の待遇比較

看護師長事務課長看護部長事務部長薬局長医科長
平均給与43.1万円58.2万円54.0万円69.7万円50.3万円126.9万円
令和 3 年 11 月 25 日 公益社団法人 日本看護協会 看護職員の収入増の必要性に関する意見書より作成

看護部長クラスになると、ボーナス含め800万円近くの年収になってきます。管理職になると残業代が付かなくなるからなっても意味ない!と言う看護師さんが結構いらっしゃるんですが、、、そんなことなさそうですね(^^)/笑

病院以外で働くor働きたい看護師さんへ

ここでは主に病院勤務の看護師さんのデータを紹介しています。検疫官や保育園看護師、空港看護師など看護師資格を活かした病院外のお仕事についてはそれぞれのお仕事のページでデータを紹介していますので、興味ある方はそちらをご一読ください!

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