こんにちは!かっきーです。今回は看護師さんの人間関係の悩みで毎年のように1位になる、病棟内いじめを取り上げます。自身が被害者になった場合はもちろん、そうでなくても病棟全体の空気を重くする病院内いじめ。今の職場でいじめをなくすためにできることや、今後転職を考えたときに、何を基準に選べばいじめの無い病院で働けるかを解説していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【この記事を読むメリット】
- なぜか病棟内で起きるいじめの原因と対処法が分かる!
- どういう職場を選べば病棟いじめが無く余計なストレスを感じずに働けるかが分かる!
- 自分が知らぬうちにいじめの加害者にならないための対処法が分かる!
- この記事を読んでもわからないことがあれば個別に質問・相談できる!
看護師の悩み【人間関係編】1位 うんざりする病棟内いじめへの対処法!
いじめは学校の中だけの現象ではありません。むしろ、大人の世界のいじめこそ陰湿で、質が悪いものが多いです。病棟のいじめを受けたり又はそれを目撃した看護師さんも多くいらっしゃると思います。私も現在進行形で複数の看護師さんから職場いじめに関する相談を受けていますし、通算では100名以上の看護師さんから職場いじめの実態を聞いてきました。
彼女らは女社会特有のドロドロした人間関係にうんざりしたと看護師の世界自体を否定しようとしますが、実際はどの業種、どの企業にも大なり小なりいじめは存在します。
では、なぜいい大人が誰かが傷つくことが分かっているいじめを、こんなにも起こしてしまうのでしょうか?
大人の世界でもいじめが起きてしまうのはなぜ?
大人社会ののいじめの発生・拡大には、いくつかのパターンが有ります。
パターン1同調圧力→錯覚パターン
Aさん(病棟内の実力者)がBさんにCさんの悪口を言う
→Bさんは、本当は思ってないけど「そうですよね」と言ってしまう➀
→自分の言動に一貫性を持たせようとする脳の仕組みから、Bさんの脳がCさんの嫌なところを探そうとしてしまう②
→実際にBさんもCさんを嫌いになってしまう②
→AさんやBさんが、今度はDさんやEさんにCさんの悪口を伝える。
→Cさんを集団で無視する、嫌がらせをする、嫌っているという態度を表に出す、などの暴力が加えられる
➀を同調圧力と言います。誰か(特にエネルギー溢れる中堅世代や病棟内のリーダー格など「声が大きい」人)があの人嫌だよね!というと、他の人もそう言わざるを得ない空気、それが同調圧力です。
②の流れは、大脳辺縁系の前頭前野が持つ、脳内にある知識や経験(自身の過去の発言や言動含む)に一貫性を持たせようとする本能が働くことによって起こります。
この場合、実際にCさんは嫌われてしまっているので、Cさんのメンタルは相当ダメージを受けます。いじめの中でも最悪のパターンです。
実際にCさんに態度や言動に問題があったり、いじめの対象になる下地のようなものが有ったのかもしれませんが、実際にいじめが起きた場合、どんな言い訳をしても悪いのはいじめた側です。
また、成熟した組織であれば、そのようなことの繰り返しから、同調圧力を止める仕組みが働いていたでしょう。
このパターンのいじめ被害者にならないためには
このパターンのいじめ首謀者(今回はAさん)は、どんな組織に居ても何かしら理由を付けて人を貶めたり悪口を言ったりして、あらゆる手を講じていじめの火種を作ってきます。誇張もしますし嘘もつきます。ですから、根源になっている人と話す時は、なるべく集団にし、一対一で接しないことです。
一対一の場面は証人がいないので、Aさんは「○○さんにこんなこと言われた」「○○さんが××って言ってたよ!」といくらでも自分に有利な話にすり替えることが出来てしまいます。
全く話していないゼロの状態から嘘をつくのはAさんもリスクが大きい※ので、マンツーマンの接点が無いあなたを標的にすることはしずらいでしょう。
※「え、それいつ言ってたの?休憩中?休憩中Bさん私とずっといたよ?」などとゼロから作った嘘は穴が多くバレやすい。ずっとこのパターンのいじめをしてきたAさんはある意味嘘や誇張を信じさせるプロ、どうすれば信じてもらえるか、細心の注意を払っています、、)
誰も標的にさせないためには、あなたがB案の立場だった時に噂話を広めないことも大切です。Aさんの話にその場で同調するのはあなた自身を守るために仕方が無いとしても、それをさらに広めたらもうあなたも加害者になってしまいます。
パターン2正当化パターン
AさんがBさんにCさんの悪口を言う
→BさんにとってCさんは良い人、どちらかというとAさんが苦手
→Bさんが友人のDさんやEさんに、AがCの悪口を言っていたとリーク
→BDEが結託し、Cを守る同盟を作ろうとする
→Aさんが孤立
これは病棟内など女性社会で多いパターンです。悪口を言った人自身に嫌われる下地があった場合、このようなきっかけでAさんがどんどん孤立していきます。悪口を言う以外にも、横柄な態度を取ったり、仕事でミスをしたり、要はBDEさん達にとって「Aさんの非難を正当化できる出来事」が有ったときに、それに乗じて一気にいじめが発生・拡大するパターンです。
このパターンのいじめ被害者にならないためには
このパターンは、悪口の言い出しっぺがしっぺ返しを食らい被害者になっているケースです。Aさんがパターン1のように院内の実力者だった李逆らえないオーラのある方だと起きにくいのですが、もとから病棟内の人望が無い人の場合、しっぺ返しを食らいます。
この場合の被害者にならない方法は、とにかく悪口・陰口を言わないこと!パターン3で見るように、人は共通の敵を作ることで味方を作る本能があるので、一切人の悪口を言わずにいるのは簡単そうで実は難しいことですよね。
悪口を言ってしまうときはおそらく【相手も同じ気持ちのはず、同調してくれるはず】という認識があるはずです。ですから、下記の記事でも触れたように、【私とあなたは違う、分かり合えない存在だ】と認識を持つことが、湿原を防ぐ手助けになります。
悪口を言ってしまいそうになったときは、「ひょっとしてBさんはCさんを快く思ているかもしれない。Cさんに苦手意識があるのは私だけかも」と思えば、声が口から出る前に口の中に押し込めるはずです。
パターン3団結の犠牲者パターン
時代とか社会とか無理にでも敵に仕立てないと
『ランニングハイ』Mr.children
味方を探せない愉快に暮らせないよ
AさんがBさんに「Cさんっていい人だけどちょっと変わってるよね」と伝える
→BさんはDさんに「Cさんって変わってる人みたいですよ」と伝える
→DさんがEさんに「Cさんって付き合いずらいってほんと?」と聞く
→Cさんはみんなにとって「感覚がずれている人」という認識が出来る
→Cさんを仲間外れにすることで自分たちは同じという団結要素が生まれる
いじめの原因で最も多いのではないかと個人的に考えているのが、このパターンです。
私の好きなバンドMr.childrenの「ランニングハイ」という曲にも、上記のような歌詞が出てきます。これこそ「原因無きいじめ」の最たるものでしょう。
人類は、個としての進化を諦め、その代わり言葉によって知識を得て、それを周囲と共有・分担することで社会を作り、他の屈強な肉食動物と戦う土台を作り上げました。
そして、文字を獲得しその知識を後世に伝え、社会を拡大・発展させることで、個としては貧弱でも他種との生存競争を勝ち残れるようになったのです。
こうして人間が自然の中で強者になると、今度は人間同士が生存競争のライバルになります。そうなると、言葉や知識が異なる人間は、自分たちの社会の発展に有害な敵とみなすようになります。このように、自分と同じものを見方、違うものは敵という「社会」を作り、競争を続けてきたのが人間です。数百年前までは、日本国内でも、天下取りだなんだと異文化(日本という概念が無いので尾張と甲斐は異文化の異国です)間で平気で殺し合ってきたのが事実です。
ですので、本能的に言葉が通じ、同じ考えや想いを共有できる者を味方と思うようになります。外国人が日本語を話すと、それだけでとってもいい人に感じてしまうのはその本能が残っているからです。
逆に、自分たちと違う者は敵と思い込むようにもなり、それが集団の結束を強くしました。野球など守備側・攻撃側が明確に分かれ、本来区別の必要性が無い競技にもユニフォームが有るのはそのためです。
敵味方の区別を作ることは集団が団結するうえで本能的に必要な要素だったのです。薩長同盟なんかもそうですね。薩摩と聴衆は歴史的に犬猿の仲でしたが、「思想が全く異なる幕府」という共通の敵を作ることで団結するに至りました。
今だに、世界中で人種・宗教・信条の違いによる争いが起こり、それはときに資源や領土を奪い合う争いよりも激しくなります。それは彼らにとって、同じ人種・宗教・信条を持つ同胞たちの結束を促す目的もあるからです。組織や集団の中に「自分たちと違う誰か」の存在を作り、自分たちの結束を強め、自分の居場所を確保しようとしてしまうのです。
人類が本当の意味で一致団結するためには、宇宙人の存在を待つしかないとも言われています。なんだか大きな話になってしまいましたが、人間は結束を高めるために自分たちとは殊なる何かを敵にすることをずっと行ってきた生き物です。
このパターンのいじめ被害者にならないためには
このパターンのいじめは、特に新規のクリニック・病棟など、メンバー全員が初対面で、皆が不安や孤独を感じているような集団で起こり易いです。本当は組織が最も団結しやすい状態・同じ方向を向きやすい状況なのに、いじめる側は自身の不安を早く解消するために、早くターゲットを見つけようとしてしまいます。
そして、ターゲットになるのは、身体的な特徴が有ったり、組織内でちょっと目立ったり「少し変わっている」という印象を持たれた看護師さんです。手っ取早く敵を作るためには、違いを強調することが最もたやすいからです。
最も良い防止策は、そんなことしなくても大丈夫、私たちは皆同じ方向を向いている仲間だよという空気を加害者になりそうな子に感じさせてあげること。安心させてあげることで、加害者側の敵創出作戦を防止することができます。
それが難しかった場合、残念ですがなるべく目立たないようにふるまうのが得策です。皆で意見を出し合い、良い職場にしていきたいという気持ちに水を差すようなこと言いたくないのですが、このパターンの加害者は出る杭を真っ先に打ってきます。
いじめの被害者になった時の心の持ち方
このように、いじめはあなたが悪くて起きているわけではありません。いじめを受けていること、周囲に疎んじられることはそれ自体が辛いことですが、あなたの人間性や看護師としての振る舞いが悪いわけではない、まずそこを冷静に理解してください。
いじめる側は、自分が優越感を持ったり楽に過ごせるように誰かをターゲットにして悪者を作ろうとしてしまう心が弱い人で、組織もそれを発見し否定できるような成熟した組織ではなかった。それがあなたがいじめのターゲットにされてしまった原因です。
ですから、自分に悪いところが有って標的にされたと思い、自分を責めることだけははいけま避けなくてはいけません。
欧米では、虐めている人がいると、むしろ「彼は心が病んでいるんだ。だから、いじめという行動を起こさないといけなくなるんだ、もういじめをしなくていいように、彼をケアしてあげないと」という発想になるようです。
いじめは被害者の問題ではなく、加害者の(心の)問題。だから、虐められている人も、自分を責めるのではなく、相手は今正常な判断が出来ない心の状況なんだ、自分は運悪くターゲットになってしまっただけなんだ、、、そう思うことで、被害者が自分をより苦しめることが無いような社会文化が出来ています。
日本はまだ「虐める人こそ病んでいる」という発想が無いので、被害者にスポットが当たってしまいますが、本来そのように、スポットを当てるべきは加害者の方なのです。
虐めのターゲットになったときは、転職を考えるのも手です
私はあまり安易な転職は考えないようにしていますが、虐めのターゲットになってしまった場合は、早期転職も勧めています。
いじめからの脱却はなかなか個人では難しいものが有り、組織が気付き、改善するためのしくみが備わっていることが必要です。一人で解決しようとして逆効果になってしまうこともあると思います。
繰り返しになりますが、自分がいじめられないように、、、自分が思い通りにできる組織にするために、、、いじめを繰り返す性格の人は、欧米文化の中だと「あなたは間違っているよ、心のケアをしに行きなさい?」と正そうとする力が働きます。しかし、日本文化の中だといじめっ子は自分の間違いに気づかずいじめっ子のままであり続けます。
ですから、もうあなたがその環境から脱してしまうことが有効な手段の一つです。「給料も高いし、シフトの融通も聞くし、スキルも学べる環境だし、虐めさえなければとってもいい病院なのに、、私がここから離れなきゃいけないのはおかしい」そう思う人もいると思います。
しかし、「虐めさえなければ」の、一つのマイナスが大きすぎます。最近は「30年遅れている」と言われる病院も、スタッフの待遇や勤務環境に気を使ったり、看護師さんのキャリアアップも病院の役割と考えるところが増えてきています。
給料も高くシフトの融通も聞き効き、スキルも学べる環境で、虐めも無い。そんな病院に巡り合える可能性は少なくありません。
転職についてはこのサイトでも多くの情報を配信しておりますし、個別の相談も受けつけておりますので、一人で悩まずにご相談ください。
魚は広い海の中ならお互い助け合うのに、狭い水槽に入れて育てるとイジメが発生するんです。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう
ジークムント・フロイト
いじめの加害者にならないために~許せない気持ちが収まらないときはどうすればいい?~
人とつきあうのに秘訣があるとすれば、それはまずこちらが相手を好きになってしまうことではないでしょうか。
瀬戸内寂聴
古くは「笑うセールスマン」ちょっと前でも「地獄少女」「怨み屋本舗」など、恨み晴らす系の漫画やアニメは定期的に出てきますが、知っている方は結末を思い返してください。いずれも、恨みを果たした人が幸せになることは無いはずです。
確かに考え方の相違があったり嫌だと思った言動が有ったなら、その都度話し合って意見を交換するのがベストでしょう。あなた自身が、その人とちゃんと向き合って、相手のことを嫌じゃなくなりたいと考えるなら、素晴らしい心がけだと思います。ですが、二度三度話し合って分かり合えなかったなら、引く姿勢も大切です。
勿論、それはまず何よりもあなたのためです。嫌な人とは一緒に居たくないですよね。でもその人のことをずっと考えるのは、嫌いなのにあなたが自ら相手を抱きしめて話さないでいるのと同じです。
中には、私がこの人にちゃんと注意をしないと今後入ってくる後輩にも迷惑が掛かる。私が先輩の自己中を直させないと!それであなた自身が疲弊してしまうのであれば、それはあなたの役目ではありません。
なぜなら、もしあなたが相手の言動に納得出来なかったとしても、相手の考え方を変える権利は無いからです。
そして大切なのは、あなたにとってどんなに嫌な人でも、きっとその人にも友達や家族がいて、他の誰かにとってはいい人かもしれないということです。
- 良い人=自分にとって都合が良かったり役に立つ人
- 嫌な人=自分や周囲に迷惑なことをする人
そんな風に、人の良い悪いなんて相対的なものです。例えば一日に何度もミスを指摘されたとします、その時あなたが心から成長したいと思っている時期であれば、その指摘もありがたく感じ、いつも気にかけてくれてありがたいと感じるかもしれません。ですが、仕事へのモチベーションが下がっている時期や、今日一日を楽しく過ごすことを優先したい時期のあなたであれば、うっとうしく感じるはずです。
同じ相手の同じ言葉でも、どう受け取るかは自分次第、相手が良い人か悪い人かを決めているのもあなた自身なのです。
嫌でどうしようもない人がいても、決して憎んだり、相手を変えようとしないことです。相手を変えるより、自分の受け取り方を変えるほうがはるかに楽で、そして効果的な特効薬になります。